海の中を泳いでいた
苦しいけれど
悪くない
感覚をつかみ直すように
丁寧にゆっくりと
前に進む
ジタバタと手足を動かす割に
前に進まず
何だかもどかしいけれど
それもまた
海の深み故だと思って
ひたすらに
泳ぎ続ける
時間が来て
水面に上がると
ぐったり疲労感と
心地よい安堵感
ふらふらと地上を歩けば
生きて帰って来れたことを喜びたくなるような
柔らかなタオル
それを描いていた矢先の
現実をさまよう迷子の声
どこまで行けば
楽になれるのだろう
解消できる術ばかり模索して
一人ぐるぐる
時間がきたらまた海に潜る
自分が楽になることが
他人の楽とは限らない
自分がすっきりすることは
焦りにしか過ぎない
そう考えて
今は
ただ
潜り潜って
自分の海へ
苦しんでこそ
人の痛みに寄り添えるのだ
と
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